
日本国内でもキャッシュレス決済の普及が進み、海外に比べて遅れを取っていたところが追いつきつつあります。
しかし、2024年の日本のキャッシュレス決済比率は42.8%で、半分以上の決済が現金などで行われているのが現状です。
現金しか使えないお店もたくさんあり、飲み会などでは現金で会費を徴収するシーンが多く見られます。
世界で進むキャッシュレス決済は、日本より高い次元で普及しているケースがあります。
隣国の韓国は世界屈指のキャッシュレス決済大国で、2022年時点のキャッシュレス決済比率は脅威の99%です。
韓国政府はキャッシュレス社会の実現を国家戦略の一つとして位置付け、2017年にはデジタル経済推進計画を発表しました。
国策としてキャッシュレス決済の促進を進め、世界のなかでも早い段階で公共交通機関や行政サービスのキャッシュレス決済化を進めたことが急速に普及した大きな要因です。
韓国はネット環境の整備とスマホ普及率が進んでいたことも、より早くキャッシュレス決済が普及した要因になっています。
日本でキャッシュレス化が遅れている要因のひとつが、現金主義の高齢者が多いことです。
現金払いを希望する消費者が多いと、店舗側もキャッシュレス決済限定に踏み切ることができず、現金決済を扱わないといけません。
現金払いにも対応しないといけない環境を理由に、決済手数料を取られるキャッシュレス決済に消極的な考えを持つ個人経営店が多く見られます。
韓国はキャッシュレス決済を促進する際に高齢者を対象にしたサポートを重視しました。
スマホの普及率も高く、様々な場所でキャッシュレス決済を活用するためのサポートをしています。
キャッシュレス決済の比率が99%を誇る韓国では、現金だけだと利用できるサービスが大幅に制限されてしまいます。
特にチェーン店は現金不可のケースが多く、完全キャッシュレス化をすることで店舗の運営コスト削減を実現させています。
日本でも現金を扱わない運営をすればコスト削減に繋がるのですが、現金主義の人が多いためキャッシュレス限定の店舗運営は売上が減少するリスクが高いです。
日本は世界トップクラスに治安が良く、現金が入った財布を落としても戻ってくることがよくあります。
海外は現金を狙った犯罪が多いため、現金よりも補償がついたクレジットカードなどの方が安全です。
治安の良し悪しも、日本と世界でキャッシュレス決済の普及率に差が出ている要因のひとつでしょう。
日本は病院などを受診した際に払う医療費が現金でしか払えないケースが多いです。
処方箋の薬代についてはキャッシュレス決済対応が進んでいます。
実は医療費をキャッシュレス決済で払えないのは世界のなかでも少数で、韓国やアメリカなど先進国の多くが医療費もキャッシュレス決済に対応しています。
現金がないと不自由する環境だと、消費者側は一定額以上の現金を持ち歩いていた方が安心です。
それならキャッシュレス決済よりもお金の増減が分かりやすい現金払いを選ぶ人が多く、世界に比べてキャッシュレス決済の普及が進んでいない要因になっています。
2022年におけるアメリカのキャッシュレス決済普及率は56.4%です。日本より高い水準ですが経済大国のアメリカでも世界に遅れを取っていると捉えることができます。
その一つの要因がチップ文化です。飲食店などの利用時に現金でスタッフにチップを渡す行為が当たり前で、キャッシュレス決済が進む現在もチップだけは現金で払う方法が主流です。
現金を持ち歩く必要性が高い環境があると、キャッシュレス決済の普及率が伸び悩む要因になります。
ドイツのキャッシュレス決済の普及率は20%台で、先進国の中で低い水準です。
ドイツは少子高齢化が進んでいて現金主義者が多いです。日本と共通した要因があることに加え、ドイツの人は個人情報の流出に敏感な特徴があります。
世界にはキャッシュレス決済が進んでいる国と遅れを取っている国があります。
国による事情や価値観の違いがあるため、日本が短期的に韓国などのキャッシュレス大国に追いつくのは困難でしょう。
それでも着実にキャッシュレス決済の普及率は上昇していて、国の定めた目標を上回るペースで進んでいます。
この先、大幅にキャッシュレス決済を普及させるためには、現金が不要でも困らない環境作りが必要です。
まずは医療費の支払いにも対応をさせるなど、国が主導して更なる変革をする必要があると言えるでしょう。
キャッシュレス決済には便利な面と扱いに注意が必要な面があることが分かりました。
正しく活用するためには、キャッシュレス決済の注意点についても理解しておくと安心ですので、以下の記事も併せてチェックしておくとよいでしょう。